「最近、猫がジャンプしにくそう」「関節がこわばっている気がする」――そんな変化を感じたことはありませんか?
年齢を重ねた猫の関節ケアには、グルコサミンやコンドロイチンなどの成分が注目されています。
この記事では、これらのサプリメントの効果・必要性・注意点を獣医師がやさしく解説します。
猫の関節トラブルとグルコサミン・コンドロイチンの関係

猫の関節トラブルはどんな症状?
猫が高齢になると関節のトラブルが起こりやすくなります。猫の関節トラブルの中で最も多いのが、変形性関節炎です。6歳以上の猫から関節炎の症状が増え、12歳以上の猫の90%が何らかの関節トラブルがあるとされています。早い猫では1歳から関節炎を起こすことがあります。
関節トラブルがある猫は、ジャンプをしなくなったり、昇り降りを躊躇したりします。おもちゃで遊ぶことが少なくなったり、じっとしていることが増えたりもします。爪とぎをしなくなるので、爪が太くなったり肉球に刺さってしまうこともあります。
グルコサミンの役割
グルコサミンは、アミノ酸とブドウ糖が結合したアミノ糖の一種で、軟骨の形成と修復に重要な役割を果たしています。グルコサミンは軟骨を作る物質ですが、軟骨は関節のクッションとなり、骨と骨がこすれ合うのを防ぐ役割があります。猫の体内でも作られますが、加齢とともに作られる量が減少し、軟骨が減少することで骨同士が衝突し関節炎が起こります。
コンドロイチンの役割
コンドロイチンもグルコサミンと同じく、軟骨を形成する物質です。コンドロイチンは軟骨に弾力を与え、クッション性を高める役割を果たしています。それにより、骨同士がぶつかり合う衝撃を和らげてくれます。コンドロイチンもグルコサミンと同じく猫の体内で作られますが、加齢とともに作られる量が減少し、関節炎の発症に繋がります。
猫にグルコサミンやコンドロイチンが必要になるケース

シニア猫(7歳以上)の関節ケア
関節炎は早ければ6歳ごろから症状が現れ、12歳以上になると何らかの関節トラブルが出現します。グルコサミンやコンドロイチンは加齢とともに作られる量が減少するため、7歳以上のシニア猫は積極的に取り入れるとよいでしょう。
肥満による関節への負担が大きい猫
肥満は関節炎のリスクとなります。肥満は関節にかかる負担が強くなるため、関節炎を起こしやすいとされています。まず減量が第一ですが、補助的にこれらのサプリメントを使用するのも良いでしょう。
ケガや関節疾患の治療中の猫
ケガや脱臼などの関節疾患があると、将来的に関節炎を起こす可能性があります。元々関節に不安がある場合は、早いうちからこれらのサプリメントを始めるのが良いでしょう。
遺伝的に関節が弱い猫
スコティッシュフォールド(骨軟骨異形成症候群)、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャット(股関節異形成)などが遺伝的に関節トラブルを抱えやすいことがわかっています。このような猫たちはサプリメントを取り入れるのがよいでしょう。
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猫にグルコサミン・コンドロイチンを与える際の注意点

人間用サプリメントは与えない
人間用のサプリメントは、成人の体重をもとに量が調整されています。また、猫と人では代謝経路が異なり、人にとっては無害な薬剤や添加物でも猫にとっては中毒になることがあります。動物用として作られているものを与えるようにしましょう。
サプリはあくまで補助的な役割であり、主食の代わりにはならない
サプリメントは足りない栄養素などを補う物です。なので、それだけ飲んでいれば体に効果があるのではなく、普段からバランスのよい食事を摂っていて、そこに追加するような位置づけになります。
また、たくさん与えれば効果が出るというわけではなく、用法用量を守ることが必要です。
持病(腎臓・肝臓疾患など)がある猫は必ず獣医師に相談
サプリメントは医薬品と違うため、副作用などは出にくいとされています。しかし、薬剤を代謝・分解する肝臓や腎臓の疾患があると、健康な動物では問題ないサプリメントでも、持病があると体調変化を起こす可能性があります。必ず獣医師に相談するようにしましょう。
グルコサミンやコンドロイチンの関節への効果については、論文によって効果は異なり、一定の効果が見られたものや変化がなかったなどの結果となっています。つまり、これらのサプリメントを与えたから劇的に改善されるわけではないことを、頭に入れておく必要があります。
猫の関節を守るためにできる日常ケア

段差を減らした生活環境を整える
関節トラブルを抱えている猫は、段差などを嫌がるようになります。動かなくなると関節を支える筋肉が衰え、より動けなくなったり関節トラブルが深刻になります。段差を昇りやすいようにスロープや足台を設置してあげると、関節に負担が少なくなります。
体重管理で関節への負担を軽減
肥満は関節にかなり負担をかけます。そのため、関節トラブルがある場合は、まず減量する必要があります。この場合は、運動により関節への負荷が増えるため、食事量を調整して体重を管理します。
適度な運動とマッサージで血流を促す
関節トラブルがある場合、激しい運動は悪化させるため、まずはマッサージなどで関節を優しく動かしてあげましょう。無理矢理動かしたり、ゴリゴリ音がする場合は中止しましょう。関節が動かしやすくなり、痛みがなさそうであれば、軽い運動などからスタートして、体重が増えないように、そして筋肉が落ちないようにしてあげましょう。
「サプリ+環境ケア」で相乗効果を目指す」
サプリメントはあくまで補助的なものです。また、グルコサミンやコンドロイチンの効果はあまり有効的でないかもしれません。サプリメントだけでなく、環境を整えたり減量することが重要です。
まとめ|猫の関節ケアは早めの対策がカギ

猫は高齢になると関節トラブルが多くなります。関節は悪くなってからでは回復しにくいため、悪くなる前にサプリメントを取り入れたりするのがよいでしょう。サプリメントはあくまで補助的なものです。場合によっては体質に合わないこともあるため、獣医師に相談しながら取り入れるのがよいでしょう。
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