ブリティッシュ・ショートヘアは、やや丸みを帯びたボディでふかふかの柔らかい毛をしており、2023年の人気猫種ランキングで6位に入っています。ブリティッシュ・ショートヘアは最近ペットショップでもよく見かける猫種ですが、遺伝性疾患も含めかかりやすい病気がいくつかあります。
今回はブリティッシュ・ショートヘアがかかりやすい病気と予防法について解説します。
ブリティッシュ・ショートヘアの特徴

ブリティッシュ・ショートヘアはイギリス原産の猫で、その歴史は非常に古いものです。2世紀ごろ、ローマ人の侵攻によりイギリスに持ち込まれた猫が、ブリティッシュ・ショートヘアの祖先とされています。もともとねずみ捕りのために持ち込まれ、そのままイギリスに住み着きました。イギリスは島国のため、外から猫が入り込まず、島の中だけで繁殖していきました。
1820年代に計画的に繁殖が行われ、1871年に行われた世界初のキャットショーで様々な賞を獲得し、有名になりました。第二次世界大戦の煽りを受け、一時は絶滅の危機に瀕しましたが、愛好家たちの手によりペルシャ猫との交配が行われ、現在の体形や毛色が生み出されたとされています。
ブリティッシュ・ショートヘアは、「ブリティッシュブルー」と呼ばれる、グレーの毛が特徴ですが、現在は様々な猫種との交配により毛色も増えています。毛は非常に密に生えているため、ふかふかとした触り心地です。
また、血液型(A型、B型、AB型)にも特徴があります。日本の猫のほとんどはA型ですが、ブリティッシュ・ショートヘアはB型が4割を占めています。さらに、通常は1歳齢で体は成熟しますが、ブリティッシュ・ショートヘアは3~5歳とゆるやかに成長します。
ブリティッシュ・ショートヘアの性格は独立心が強く、落ち着いた控えめな性格と言われています。しかし、信頼できる人には深い愛情を示します。猫らしいツンデレな性格と言ってもいいでしょう。
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ブリティッシュ・ショートヘアがかかりやすい病気と予防法

ブリティッシュ・ショートヘアは純血種の中では健康的な猫ではありますが、遺伝的な疾患が確認されています。また、生活している上でかかりやすい病気もあります。
肥大型心筋症
ブリティッシュ・ショートヘアは遺伝的に肥大型心筋症になりやすいと言われています。肥大型心筋症は心臓の筋肉が分厚くなり、うまく収縮できなくなる病気です。
肺や体中に血液がうまく送り出せず、呼吸困難や開口呼吸、胸水、腹水、元気消失などの症状が現れます。また、若いうちから肥大型心筋症になることもあり、症状がなくても突然死を起こすことがあります。
さらに、肥大型心筋症の心臓の中には血栓が作られやすく、その血栓は後ろ足の太い動脈に詰まってしまいます。血栓が詰まると、後ろ足が動かない、肉球が冷たい、紫色になる、ひどく痛がるなどの症状が現れます。肥大型心筋症の症状が現れた段階では、病気が非常に進行している状態であり、命の危険もあります。
肥大型心筋症の治療は、酸素室で集中的に行われます。血栓ができている場合は血栓溶解治療が行われますが、治療の効果がなく亡くなる可能性があります。状態が安定すると内服薬に切り替わりますが、一生涯必要になります。
肥大型心筋症は遺伝的要因が大きいため、予防法はありません。定期的に健康診断や心臓の検査を受けることで、早期発見することが望ましいです。
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糖尿病
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンが少なくなり、細胞のエネルギー源である血液中のグルコース(血糖)が多くなってしまう病気です。
インスリンは血液中のグルコースを体の細胞に取り込む役割がありますが、糖尿病になると体の細胞にうまく取り込まれず、細胞はエネルギー不足に陥ってしまいます。
糖尿病は遺伝的な要因以外にも、肥満などでも誘発されます。糖尿病の症状は、多飲多尿、多食が初期の症状ですが、高血糖の状態が続くと嘔吐、痩せ、昏睡など命に関わる状態になります。
糖尿病の治療はインスリン注射を行います。毎日必要になるため、インスリンの量が安定したら、自宅で行ってもらいます。糖尿病の場合、インスリン療法と食事療法が組み合わされることがあります。そのため、治療中は獣医師の指示に従ってインスリンや食事を与えましょう。
猫の糖尿病は炎症が関連していると考えられており、治療によってインスリンが不要になることもあります。
糖尿病は肥満にならないようにすることが重要です。食事やおやつをあげすぎないように、飼い主さんがコントロールしてあげましょう。
尿石症
ブリティッシュ・ショートヘアは尿石症になりやすい猫種でもあります。尿石症は、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに石(結石)ができてしまい、おしっこを何度もする、排尿姿勢をとっても尿が出ない、血尿が出る、排尿時に大声で鳴くなどの症状が現れます。
結石は石の種類によっては食事で溶かすこともできます。石のサイズが大きかったりすると、手術で摘出する必要もあります。
尿石症は再発しやすいため、尿石症と診断されたら尿石用の療法食に切り替えましょう。また、飲水が少ないと尿石ができやすくなるため、水を飲みやすいように器や高さを変えたり、器を増やしたりするなどの環境整備が必要になります。肥満も尿石症の危険因子ですので、太りやすいブリティッシュ・ショートヘアは体重管理も大切です。
尿石症で尿が出なくなった場合、数時間で腎臓機能が低下してしまいます。気が付いたらすぐに動物病院を受診しましょう。
皮膚病
ブリティッシュ・ショートヘアは短毛種ですが、非常に密に毛が生えています。そのため、ブラッシングを怠ると抜け毛が絡まったりして、皮膚炎の原因にもなります。
皮膚炎になると、脱毛、皮膚の赤み、フケ、痒み、発疹などが現れます。
皮膚炎の程度によっては内服薬を使用することがあります。日ごろのブラッシングで予防できるため、短毛種であっても1日1回はブラッシングを行いましょう。
まとめ

ブリティッシュ・ショートヘアは、魅力的な丸みのあるボディに柔らかい毛並みの持ち主です。肥満になりやすかったり、皮膚炎のトラブルにつながることもあります。また、糖尿病や尿石症、肥大型心筋症にもなりやすく、症状が出てからでは命に関わることもあります。
定期的に健康診断を受け、早期発見に努めることが大切です。
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