はじめましての方もはじめましてじゃない方もこんにちは。
猫狂でミニマリストの阪口ゆうこです。
猫との暮らしには、想像以上にドラマがあります。
かわいいもふもふの天使と暮らし始めれば、毎日が癒やしの連続だと思っていました。
が、現実はもう少しバラエティに富んでいて……。
我が家の場合、その象徴が「白猫のゲロりんちょ」でした。
以下、少しでも可愛い表現になるよう、吐き戻しを「ゲロりんちょ」と書いています。
天使のような白猫と予想外の同居生活
2021年、白猫が我が家にやってきました。
大きく潤んだ瞳、おっとり、ふわふわ、天女のような風貌で、家族全員のハートを居抜き、秒速で虜にしました。
どこに出しても恥ずかしくない、健康優良……猫でした。

しかし翌年あたりから、食後の「ある儀式」が始まったのです。
ごはんを食べ終えてから3分以内、もれなく吐き戻す。
マーライオンのように豪快に。
食べた分をほぼ原形でリターンしてくるあの瞬間は、何度経験しても慣れません。
食後3分で必ず吐き戻す猫
最初のうちは「猫ってすごく吐く生き物って言うしね」と、家族で自分に言い聞かせながら見守っていました。
「猫は毛玉ケアや体調管理の一環で吐くこともある」と、ネットにも書いてあったし……。
だけど、日に日に頻度は増し、ごはんと吐き戻しがほぼセット販売状態に。
私と白猫の間で、「ごはんは前座、本番はゲロ」の空気すら漂うようになり、私は焦り始めました。
混ざっていた恐怖の異物
ある日、いつも通り白猫の吐き戻しをティッシュ片手に掃除していると、見慣れぬ物体が混ざっていました。
カラフルなふわふわの毛……。
見覚えがありすぎて震えました。
「おもちゃ……の切れ端?」
背筋が凍りました。
誤飲だとしたら緊急事態です。
私は即座にキャリーに白猫を詰め込み、病院へ走りました。
診断結果は、切れ端を少し飲んだだけで心配はない、と。
※おもちゃの大部分はありました。
これをいい機会だと思い、これまでの吐き戻し癖も嘆くようにまとめて報告し、獣医さんに診てもらいました。
体を触ったり聴診器を当てたり、先生は猫の様子をきめ細やかに診て、穏やかに言いました。
「他も診たところ、とても元気なので…吐くのはおそらく食べ方のクセですね」
どんなクセよ、とツッコミたい気持ちはありましたが、先生にそう言われてしまうと納得せざるを得ませんでした。
とにかく原因を探るしかない、そう思った私は、この日から「ゲロりんちょ対策」に本気で取り組むことにしたのです。
吐く理由は多すぎる問題
その日を境に私は、ゲロりんちょ阻止の研究者と化しました。
しかし、猫が吐く理由を調べれば調べるほど原因がありすぎて、出口のない迷宮に迷い込みました。
毛玉、空腹すぎ、食べすぎ、早食い、ストレス、アレルギー、フードの粒の大きさ、食器の高さ…原因の多さに頭を抱えました。
しかし、我が家は現場主義で攻めるしかない…と、まずは食器改革から着手しました。
早食い防止食器導入も、猫が攻略
試したのは、早食い防止食器。
底が突起ででこぼこしていて、舌が届きにくく、ゆっくりしか食べられない仕組みです。
たしかに最初の数ヶ月は効果がありました。
歯が当たって食べにくそうでしたが、数日でコツを習得し、いつも通りサッサカ食べるようになってしまいました。
ゲロ回数は一瞬減ったのですが、その平穏な暮らしはすぐ終了。
白猫は想像以上に器用だった……。
食器破壊事件発生。まさかの逆効果
追い打ちは突然来ました。
ある日、白猫が部屋中を全力疾走し、食器に激突して割ってしまったのです。
仕方がなく代わりに平皿へ変更したところ、食べやすさが増して早食いに拍車がかかりました。
ゲロ率はアゲインどころか、過去最高。
私は確信した。
「絶対、早食いが原因やないか」
私の心も器と一緒に粉砕されました。
人力という最終手段へ
道具を使っての吐き戻し防止は大敗。
ならば人力で挑むしかない。
現在は、白猫の食事を「1粒ずつ手渡しする」という、むちゃくちゃ面倒くさい方式へ変更しています。
最初は「コレいつ終わるの?」と途方に暮れました。
誰が好き好んで、朝から猫にドライフードを一粒ずつ差し出す生活を想像するだろう。
だが実践してみると、白猫に高級フレンチ感が生まれたのか、噛む回数が増え、満足度も高まった。
何よりこの方法にしてから、一度も吐かない。

シンプルすぎる解決
振り返ると涙が出そうです。
早食い防止食器に投じたお金、獣医に駆け込んだ焦り、ゲロ掃除に費やした膨大な時間……すべてが走馬灯のように蘇りました。
もちろん人力はとてつもなく手間です。
しかも一粒ずつなんてクレイジー極まりないです。
正直、朝の時間帯は「自分で食べてくれ」と遠い目になることもあります。
それでも、健康を守れるなら安い投資だと思える。
食後に白猫が穏やかに毛づくろいする姿を見るたび、私は達成感に包まれるのです。
猫と暮らすとは「適応」の連続
猫と暮らすとは、想定外に振り回され、試行錯誤し続けること。
熟考し緻密な計画を立ててから行動するタイプの人間は、猫の前では無力です。
猫がルールで、私たちは適応する側。
多分今後もこれ。ずーっとこれ。

しかし、その不自由さも含めて猫との暮らしは幸せ。
失敗して、振り回されて、笑って、また研究を続けてしまう。
猫の力とは恐ろしいものです。
今日も私は朝食の給仕係
今日も私は、白猫の朝食係としてスタンバイしています。
1粒ずつ差し出し、白猫がもぐもぐと噛むたびに「ナイス咀嚼」と褒めます。
ゲロりんちょ阻止の戦いは、まだまだ続くでしょう。
だが私はもう知っています。
猫に合わせた暮らしこそ、幸せの近道だと。
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