「腎臓病」は猫ちゃんの命に関わる怖い病気のひとつ。だけど、これといった予防法や治療法は見つかっていません。
そこで注目したいのが、猫ちゃんの「食事」です。
毎日の食事を適切に管理することで、猫ちゃんの腎臓病の進行を遅らせたり、発症のリスクを減らせることが知られています。
今回は猫ちゃんの腎臓病と食事の関係について解説したいと思います。
猫の腎臓病ってどんな病気?
猫ちゃんの腎臓病には「急性腎障害(急性腎不全)」と「慢性腎臓病(慢性腎不全)」の2種類があります。
「急性腎障害(急性腎不全)」は早期に治療することで回復が見込める病気ですが、「慢性腎臓病(慢性腎不全)」は少しずつ腎機能が弱っていき、最終的には機能しなくなる病気です。
しかし、慢性腎臓病の原因ははっきりとはわかっていません。
シニア猫がかかりやすいことから、加齢によって腎臓の機能が低下し、血液にたまった老廃物を体外に出せなくなってしまうのだろうと考えられています。
慢性腎臓病の症状
慢性腎臓病の初期症状はほとんどありません。以下のような症状は、慢性腎臓病がかなり進行してから現れます。いつもと様子が違っていたら、動物病院で診察を受けるようにしましょう。
- 尿の量が増える
- 水をよく飲む
- 口臭がある
- 口内炎ができる
- 食欲がなくなる
- 体重が減る
- 嘔吐
- 下痢
- 毛づやがなくなる
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腎臓病の食事療法とは
慢性腎臓病で一度弱ってしまった腎臓は、元の健康な状態に戻ることはありません。そのため、不治の病ともいわれています。
猫ちゃんの腎臓病の治療の目的は、病気の進行を遅らせることにあります。点滴や薬物療法のほか、食事療法も効果的なことがわかっています。
猫の腎臓に良い食べ物とは?
腎臓の機能が弱まると、リンやナトリウムなどの「塩分」を排泄できずに体内に溜まってしまい、多飲多尿や高血圧の原因になります。
また、「タンパク質」の分解もうまくできず、老廃物が溜まって腎臓機能を悪化させてしまいます。
食事療法では腎臓で処理しきれない毒素やタンパク質が溜まってしまうのを防ぐため、塩分を減らし、高タンパクなフードは避けて腎臓への負担を減らします。
腎臓病専用の療法食を食べさせる
「療法食」とは、それぞれの病気に合わせて栄養成分の量や比率を調整したフードのことをいいます。
腎臓病の療法食は、「総合栄養食」と表記されているフードよりもタンパク質とリンの量が少なく、腎臓に負担をかけにくくなっています。
療法食は獣医師に処方されることが多いです。自己判断で療法食を与えずに、必ず獣医師の指示に従いましょう。
おやつにも要注意!
ジャーキーやにぼし、かつお節などのおやつは、塩分が多く含まれていることがあります。
与えすぎると療法食の意味がなくなってしまうので、おやつの成分にも注意が必要です。
もちろん、人間の食べ物も猫ちゃんに与えてはいけません。
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食事に気をつけて腎臓病予防を
猫ちゃんの腎臓の健康のためには、日頃からの食事管理も大切です。以下のポイントを抑えて、記録を取りながら食事管理をしてみましょう。
新鮮な水をいつでも飲めるようにする
水をたくさん飲むことで排尿を促し、腎臓の負担を減らすことができます。
水飲み場を複数箇所に用意したり、ぬるま湯やスープにしたり、飲水量を増やす工夫をしましょう。
質の高いフードを選ぶ
最近では、猫ちゃんの腎臓ケアに特化したフードもたくさん市販されています。リンやナトリウムなどの塩分が多すぎず、良質なタンパク質が適切に含まれているフードを選ぶようにしましょう。
また、DHAやEPAなど「オメガ3脂肪酸」も腎臓病の進行を抑える効果が期待されています。
大きな話題になった株式会社マルカンの「AIM30」は、東京大学の宮崎徹教授の研究(ぽぽねこも研究費を寄付しました!)によって生まれた、猫ちゃんの腎臓病に特化した総合栄養食です。
猫の腎臓にはどんな食事がいいのか、かかりつけの獣医師におすすめを聞いてみてくださいね。
腎臓病予防のために「猫が食べてはいけないもの」を知っておこう
誤飲や誤食が原因で中毒を起こすと、急性腎障害(急性腎不全)を発症するだけでなく、腎機能が回復しないまま慢性腎臓病(慢性腎不全)になってしまうケースもあります。
「猫が食べてはいけないもの」は「猫にとって毒になるもの」です。猫ちゃんの手の届くところに置かない、出しっ放しにしないなど、必ず対策を行いましょう。
猫が食べてはいけないもの・1「ユリ」
ユリは花も茎も花粉も、花瓶の水でさえも猫ちゃんにとってはすべてが毒です。
口にすることで急性腎不全を起こす危険があるので、猫ちゃんのいる家には持ち込まないようにしましょう。
猫が食べてはいけないもの・2「たまねぎ」
たまねぎを誤食してしまうと赤血球が破壊され、溶血性貧血や急性腎不全を起こします。
加熱していても毒性は強いままなので、人間の食事をテーブルに放置するのはNGです。同じく、長ねぎ、にんにく、にら、らっきょうなども有毒です。
猫が食べてはいけないもの・3「人間の薬」
人間用の薬を猫ちゃんが口にしてしまうと、うまく代謝、排泄することができずに中毒症状を起こしてしまいます。
特に風邪薬や解熱鎮痛薬は要注意。「ロキソニン」に含まれるロキソプロフェンなどの成分は猫ちゃんにとっては危険なものです。うっかり落とさないように対策しましょう。
まとめ
猫ちゃんの「腎臓病」はとっても心配な病気です。そのため、食事にも気を使いたいと考える飼い主さんは少なくありません。
良質なフードを選ぶことに加えて、飲水量を増やすこと、さらにはオシッコの量や回数を把握しておくことも腎臓病の予防や早期発見に繋がります。
また、特に不調がなくても、1年に1回は動物病院で健康診断を受けることも大切です。
毎日の習慣で、猫ちゃんを腎臓病から守りましょう!
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