【獣医師が解説】ラグドールがかかりやすい病気とは?肥大型心筋症や尿石症、毛球症など

【獣医師が解説】ラグドールがかかりやすい病気とは?肥大型心筋症や尿石症、毛球症など

ラグドール(RagDoll)は、「ぬいぐるみ」という意味を持ち、性格は温厚で人になつきやすい、まさにぬいぐるみのような猫です。日本でも人気が高く、人気猫種の10位以内にランクインしています。とても飼いやすいラグドールですが、遺伝性疾患を含め、かかりやすい病気が存在します。

今回は、ラグドールがかかりやすい病気について解説します。

ラグドールの特徴

ラグドールの特徴

ラグドールの起源となる猫は、1960年代にアメリカで生まれました。ラグドールの起源となる猫は、ペルシャ猫とバーマンという猫を交配させ、生まれてきた猫にバーミーズという猫を交配し誕生したのが、ラグドールの起源となっています。

体格が大きく、オスでは10㎏近くなることもあります。ふわふわとしたセミロングの毛が特徴です。性格は温厚でなつきやすく、抱っこを嫌がらない猫種とも言われています。

成長はゆっくりで、3~4年かけて成長します。

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ラグドールがかかりやすい病気

ラグドールがかかりやすい病気

ラグドールがかかりやすい病気のうち、日常生活が関係しているものもありますが、一部遺伝性疾患も確認されています。日常生活が関係しているものとして、尿石症、毛球症があります。遺伝性疾患としては、肥大型心筋症が好発となっています。それぞれについて説明します。

肥大型心筋症

心臓の筋肉が大きくなり、うまく収縮できなくなる病気です。心臓から血液が送り出せなくなるため、呼吸困難、胸水、腹水などが生じることがあります。ラグドールの遺伝子の変異により、肥大型心筋症が発生しやすいことがわかっています。若齢からあまり動かない、遊ばない、すぐ疲れてしまうなどの症状が出ることがあります。無症状でも突然死するリスクがあります。肥大型心筋症は心臓内に血栓ができることがあり、後ろ足の大きな動脈に詰まる傾向があります。そうなると、後ろ足の麻痺、肉球の冷感・チアノーゼ(紫色に変色)、激痛などの症状が現れます。

肥大型心筋症は症状が出た段階では、かなり重症です。酸素室などに入院し、集中的な管理が必要になります。集中的に治療を行っても、残念ながら亡くなる可能性は高くあります。状態が安定すると、内服での治療に切り替わりますが、完治することはなく、生涯内服が必要になります。

肥大型心筋症は予防することができません。そのため、早期発見・早期治療が必要になります。定期的な健康診断が重要になります。

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尿石症

猫は尿石症などの尿路疾患にかかる可能性が高いですが、ラグドールはややかかりやすいということがわかっています。尿石症は、尿路に結石ができますが、その成分は主にストルバイトとシュウ酸カルシウムに分かれます。ストルバイトは専用の療法食で溶解することができますが、シュウ酸カルシウムは食事によって治療できず、手術による摘出が必要になります。ラグドールはシュウ酸カルシウム結石がややできやすい傾向にあると言われています。尿石症になると、頻尿、何度もトイレに行くが排尿できない、排尿時に大声で鳴く、血尿が出る、嘔吐、食欲がなくなるなどの症状が現れます。尿石症になり、尿が出なくなってしまうと、数時間で腎臓機能が低下し、命に関わってしまいます。そのため、すぐに動物病院を受診する必要があります。

尿石症は、ある程度予防することができます。人間の食事を与えたり、おやつを多く与えると尿中のミネラルが多くなり、尿石症になることがあります。キャットフードのみを与えるようにしましょう。飲み水が少ないと尿石症になりやすくなります。飲み水は新鮮なものを飲めるようにしましょう。肥満は尿石症のリスクを上げるため、食事をコントロールして太らせないようにすることも大切です。

もし尿石症と診断された場合、手術によって摘出しなければならないこともあります。また、尿石症は再発することがあるため、尿石用に療法食を続けることが大切です。なお、市販の下部尿路疾患対策フードはシュウ酸カルシウムには対応していないので、動物病院で処方された療法食を与えましょう。定期的な受診も必要です。

毛球症

ラグドールはセミロングの毛なので、毛づくろいでかなりの量の毛を飲み込んでしまいます。飲み込んだ毛が少量であれば便として排出されますが、多くなると消化管の中で毛球となり、場合によっては消化管に詰まってしまうこともあります。症状は、嘔吐、便秘、食欲不振などが現れます。

毛球症は日ごろのお手入れにより、予防することが可能です。ラグドールの場合、1日2回以上のブラッシングを行い、余分な毛を取り除いてあげましょう。換毛期はこまめにブラッシングをしましょう。繰り返す場合は、毛球除去剤を使用することもあります。

まとめ

まとめ

ラグドールは性格面から、猫を初めて飼う人にも、他に猫を飼っている人にも飼いやすい猫種として人気があります。ラグドールは肥大型心筋症、尿石症、毛球症にかかりやすい猫種ですが、尿石症や毛球症はある程度予防することができます。きれいな毛を保つためにもブラッシングは欠かさず行いましょう。また、食事に気をつけることで、尿石症を防ぐことも可能です。そして、定期的に健康診断を受け、健康状態に気をつけましょう。

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