【獣医師が解説】アメリカン・ショートヘアがかかりやすい病気とは?糖尿病や肥大型心筋症、多発性嚢胞腎など

【獣医師が解説】アメリカン・ショートヘア特有のかかりやすい病気とは?糖尿病や肥大型心筋症、多発性嚢胞腎など

アメリカン・ショートヘアは、可愛い容姿と穏やかな性格から、猫を初めて飼う人にも飼いやすい猫種として知られています。顔は丸く、体は筋肉質でがっしりとしています。飼いやすいアメリカンショートヘアですが、肥満になりやすい猫でもあります。それだけでなく、心臓や腎臓などの疾患にもかかりやすいです。

今回はアメリカン・ショートヘアがかかりやすい病気について解説します。

アメリカン・ショートヘアの歴史と特徴

アメリカン・ショートヘアの歴史

アメリカン・ショートヘアの祖先は、イギリスが原産国であるブリティッシュ・ショートヘアが直系とされています。17世紀にイギリスからアメリカに渡った移民の船に、ネズミ捕りとして乗っており、アメリカで「アメリカン・ショートヘア」という品種として確立しました。ネズミ捕りの猫として連れてこられたため、狩りは得意で、非常に運動能力の高い猫でもあります。食欲が旺盛なため、太りやすい猫でもあります。

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アメリカン・ショートヘアがかかりやすい病気と予防法

アメリカン・ショートヘアがかかりやすい病気

アメリカン・ショートヘアがかかりやすい病気は、肥満に関連するものと、遺伝が関連するものがあります。肥満に関連する病気には、糖尿病や関節疾患、心疾患があります。遺伝が関連する病気には、多発性嚢胞腎があります。

糖尿病

アメリカン・ショートヘアは体に脂肪を貯めやすく、肥満になりやすい猫種です。肥満は糖尿病の原因の一つと考えられており、アメリカン・ショートヘアは糖尿病になりやすい猫種です。肥満になると体内で炎症が起こりやすくなり、血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓を攻撃するため、インスリンが分泌できなくなり、血糖値が高くなると考えられています。多飲多尿、過食などが起こりますが、高血糖の状態が長く続くと次第に痩せ、嘔吐やぐったりするなどの症状が現れます。

糖尿病になった場合、インスリン注射などで血糖値のコントロールを行います。同時に食事療法やダイエットも行います。猫の糖尿病の場合、治癒する可能性もあります。

糖尿病にならないためには、過度に太らせないことが大切です。食事の量を制限し、猫が欲しがってもあげないようにしましょう。運動が好きな猫種なので、たくさん運動させることも良いでしょう。

関節疾患

肥満になると関節への負担が大きくなります。関節への負担が大きくなると、関節炎を引き起こしてしまいます。関節炎になると、痛みから動きたがらずじっとしていることが多くなります。また、ジャンプをしたがらなくなり、キャットタワーに登らなくなることもあります。ジャンプするときには、ややためらう姿も見られます。

関節疾患の治療は、主に痛みを取る対症療法となります。また、ダイエットも行われます。自宅の生活環境を見直し、段差を少なくしたりスロープをつけたりすることも必要になります。

関節炎も肥満に関連して起こるため、太らせないことが重要です。

心疾患

アメリカン・ショートヘアは、肥大型心筋症などの心疾患になりやすい猫種です。肥満になると心臓への負荷が大きくなるため、心疾患が引き起こされやすくなります。肥大型心筋症の場合は、肥満以外でも発症のリスクがあります。

心疾患の猫は動きたがらなくなり、じっとしていることが多くなります。また、動くと開口呼吸をすることもあり、猫の開口呼吸は非常に危険なサインです。心疾患が悪化すると、肺やお腹に水が溜まり、ひどく苦しい状態になります。また、突然死を起こすことがよく見られる疾患です。肥大型心筋症の場合、心臓内に血栓を作ることがあり、血栓が動脈に詰まると、そこから先に血液が行きにくくなります。特に後肢の血管に詰まることが多く、後肢を引きずる、肉球が紫色になる、後肢が冷たい、触ると痛がるなどの症状が現れます。

心疾患の多くが内服や注射による内科的治療が行われます。血栓症になってしまった場合、なるべく早いうちに血栓を溶かす治療が行われます。心疾患の多くの猫が苦しい状況にあるため、酸素室で入院管理をすることがほとんどです。心疾患で来院する猫の多くが、かなり危険な状態のことが多く、亡くなる可能性もあります。治療は生涯行われるため、定期的な通院、検査、投薬などで非常に高額になることが予想されます。

心疾患、特に肥大型心筋症の場合は、肥満以外の要因も関与するため、痩せれば予防できるとは限りません。アメリカン・ショートヘアは心疾患にかかりやすい猫種ということを、頭に入れておくことが重要です。また、心疾患を疑う症状が現れた場合、急を要することが多くあります。普段から定期的に健康診断を受けたり、普段と違ったら動物病院を受診しましょう。

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多発性嚢胞腎(せいたはつせいのうほうじん)

多発性嚢胞腎は、腎臓に液体の入った袋ができ、最終的に腎機能が失われた慢性腎臓病になってしまいます。ペルシャ系の猫に多く見られますが、アメリカン・ショートヘアやスコティッシュ・フォールドにも多発する遺伝性疾患です。親猫のどちらかの遺伝子に異常があると、50%の確率で子猫に遺伝すると言われています。

若齢から嚢胞ができ始めることが多く、多発性嚢胞腎の猫の場合、若い年齢から慢性腎臓病になるリスクがあります。初期の頃は症状がなく、健康診断などで偶然発見されることがあります。進行すると慢性腎臓病の症状が現れ、多飲多尿、薄いおしっこ、嘔吐、食欲不振、痩せなどが現れます。

多発性嚢胞腎の治療法は確立されておらず、腎臓病と同じ治療法を行います。そして、治ることはなく進行していく病気です。腎臓病を発症すると、食事療法や降圧薬などの内服、定期的な皮下点滴が必要になります。治療は生涯行われるため、定期的な通院、検査、投薬などで非常に高額になることが予想されます。

多発性嚢胞腎は遺伝性疾患であるため、予防することはできません。定期的に健康診断を受けたり、異常があればすぐに動物病院にかかるようにしましょう。

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まとめ

まとめ

アメリカン・ショートヘアはとても飼いやすい猫です。遊ぶことが大好きなので、飼い主さんとたくさん遊んでくれることでしょう。また、食べることも大好きで、アメリカン・ショートヘアの多くがぽっちゃりとしています。

猫も人と同じく、肥満は大病の源です。太らないように食事をコントロールすることが大切です。また、心臓や腎臓が悪くなる猫種でもあるため、定期的に健診を受けたり、少しでも様子がおかしければ動物病院を受診するようにしましょう。

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