猫の正常な便は茶色やこげ茶色です。猫が白いうんちをしたら、何らかの病気の可能性があります。今回は、猫の白いうんちについて詳しく解説します。
猫の白いうんちの原因とは?

猫の正常なうんち
猫の正常な便は、茶色からこげ茶色です。形がしっかりとあり、つやもあります。色が赤、黒、白といった便は異常です。また、コロコロした便は便秘、柔らかく形が保てない便は下痢の可能性があります。
猫の白いうんちの原因
猫の白い便は、病気によるものがほとんどです。消化不良、寄生虫によるものの可能性が考えられます。
お腹の検査でバリウムを使用した場合も白い便が出るため、バリウム検査をした数日間は白い便でも驚かないでくださいね。
考えられる疾患と症状に注意

肝臓や膵臓の病気が引き起こす白いうんち
便の色は、胆汁という肝臓から作られた消化液の色です。胆汁は胆嚢と呼ばれる袋に貯蔵され、胆管と呼ばれる管を通って十二指腸に分泌されます。消化された食べ物が十二指腸を通過すると、胆汁と混ざりあい、便の色になります。
胆管の閉塞や肝臓機能の低下により胆汁が分泌されにくくなると、白や灰色っぽい便になります。
また、膵臓の病気でも白い便が出ます。膵臓からは脂肪を分解する消化酵素が分泌されます。膵外分泌不全(すいがいぶんぴつふぜん)は膵臓から消化酵素が出なくなってしまう病気で、食事中の脂肪が分解されずそのまま便として出てくるため、白いうんちとなります。独特なにおいがしたり、膵外分泌不全の猫はかなり痩せている特徴があります。
寄生虫感染による便の異常
寄生虫がいると、便の中に白い粒や糸状のものが混じり、白い便のように見えることがあります。これらの白いものは動いて見えるのも特徴です。
白い粒が見えた場合は瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)、白い虫が糸状の物が出た場合は回虫(かいちゅう)の可能性があります。
猫の白いうんちに対する治療と対応法

早期診断と治療が重要な理由
白い便の原因のほとんどが病気によるものです。バリウム検査後の白い便は、バリウムが排泄されてしまえば治まります。それ以外の原因の場合、治療をしないと改善せず、重症化してしまうことがあります。寄生虫が原因の場合、栄養不良になるだけでなく、人や他の猫にも寄生させてしまうため、治療が必要になります。
治療法について
白い便の原因が寄生虫の場合、駆虫薬で治療ができます。背中に垂らすスポットタイプや内服薬、注射薬を使用する場合もあります。
胆嚢や肝臓の病気が原因の場合、抗菌剤や消炎剤、肝臓庇護薬などを使用します。内服で改善しにくかったり、何らかの原因で胆管が完全に閉塞している場合は、手術が適応になることもあります。
膵外分泌不全の場合、不足している消化酵素を補充します。食事に消化酵素を混ぜて与えます。細菌の異常増殖やビタミン欠乏が起きていることもあるため、抗菌薬やビタミンを補充することもあります。
自宅でのケアと定期的な健康チェック
寄生虫による白い便は、駆虫が完了すれば治ります。便から新たに寄生するため、便をしたら早く処分し、しっかり手を洗うようにしましょう。またトイレは定期的に熱湯消毒をしましょう。
肝臓、胆嚢、膵臓の異常で起こる白い便は、長期的な治療が必要になることもあります。内服や食事は、獣医師の指示通りに行いましょう。
便の色や食事量は重要なバロメータになります。少しでもおかしいと感じたら、動物病院に相談しましょう。
白いうんちにならないために

定期的な駆虫が必要です
寄生虫による白い便は、定期的に駆虫することで防ぐことができます。特に瓜実条虫はノミが媒介します。ノミは飼い主さんが外から持ち込むこともあるため、寄生虫症にかかっていなくても、定期的に駆虫しましょう。ノミ・ダニ、内部寄生虫を駆除する製品があります。
【関連記事】 |
定期的な健康診断の重要性
肝臓、胆嚢、膵臓の病気は、症状が出るまで気づかないこともあります。健康診断では血液検査や超音波検査、便検査を行うため、悪化する前に気づける可能性があります。健康的な状態を把握しておくと、病気になったときの状態がわかりやすくなるのも健康診断の利点とも言えます。
【関連記事】 |
獣医師に相談するべきタイミングとサイン

白い便が出たら、様子を見ずにすぐに動物病院を受診しましょう。
胆嚢や肝臓、膵臓の病気の場合、全身状態が非常に悪いことがあります。白い便以外に、腹痛、嘔吐、下痢、黄疸、極度の痩せの状態になっていることがあります。食べているのに痩せていないか、皮膚の色や尿の色、白目の色が黄色みがかっていないかにも注意が必要です。
まとめ

白い便は、内臓の大きな異常であることが多いため、すぐ治るかなと様子を見てはいけません。また、寄生虫による白い便も、放置すると栄養失調になるだけでなく、他の人や動物に感染を拡げてしまいます。そのため、白い便が出たらすぐに動物病院にかかりましょう。
この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)