獣医師が解説:猫の正常なうんちの見分け方と健康管理のポイント

獣医師が解説:猫の正常なうんちの見分け方と健康管理のポイント

猫のうんちはコロコロしているイメージがありませんか?実は正常なうんちはコロコロしていません。コロコロうんちは便秘かもしれません。

今回は、猫の正常なうんちについて詳しく解説します。

猫の正常なうんちの特徴とは?

猫の正常なうんちの特徴とは?

猫の正常な便は、糞便中の水分が70%程度の便のことを言います。しっかりと形があり、表面にややひび割れがあることもありますが、わずかに湿っています。持ち上げても形が崩れることはありません。

色は茶色からこげ茶色をしています。大きさは人差し指1本分程度ですが、食べているフードの種類によって異なります。においはあまりなく、消化されたフードのにおいになります。

うんちでわかる猫の健康状態

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うんちの色を観察しましょう

正常な便の色は茶色からこげ茶色です。色が濃すぎるのも薄すぎるのも、おなかの中で何か問題が起きているかもしれません。

便の色が黒色の場合、鼻や口、上部消化管(胃から小腸)で出血している可能性があります。消化管を通過している間に血液が酸化し、黒色に変色します。治療で鉄剤や活性炭を飲んでいる場合も黒色になります。

便の色が赤色の場合、大腸や肛門で出血している可能性があります。肛門までの距離が短いため、鮮血が出てきます。多くの場合、粘液を伴っています。

便の色が緑色の場合、消化不良の可能性があります。消化された食べ物は、十二指腸で胆汁と混ざりあい、これが便の色になります。胆汁自体は黄色~緑色をしていますが、腸内で茶色になります。腸炎などで腸が速く動いてしまっているときは、胆汁そのものの色が便に出てくるため、緑がかった便が出ます。

便の色が黄色の場合、これも消化不良の可能性があります。重度の腸炎などで胆汁が腸の中で分解されないと、黄色の便が出てきます。膵外分泌不全などの膵臓の病気でも、便が黄色になることがあります。

便の色が白~灰白色の場合、肝臓、胆嚢、膵臓の病気の可能性があります。胆汁が作られない、排出されない、脂肪が分解されないなどで、白い便が出てきます。

便秘と下痢の見分け方

猫の便は硬いイメージがあるため、下痢の方が見分けがつきやすいかもしれません。

液状でないもの(軟便)から、完全に液状の便(液状便、水様便、泥状便)のことを下痢と言います。軟便は非常にやわらかい便です。拾い上げた時に、崩れ落ちるほどの柔らかさが特徴です。液状便は液体がほとんどの状態のことを言います。

便秘のうんちは、便自体にひび割れが多く、コロコロとしています。正常な便は、少し表面がひび割れていますが、一本につながっています。細かくちぎれた便は便秘かもしれません。また、便が1日に2、3回程度出るのが正常ですが、それ以下の場合は便秘の可能性があります。便を出すときにいきんで声が出て居たり、1分以上かかっても出ない場合は便秘の可能性があります。

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異常が見られる場合の早期対応

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下痢や便秘が出る病気

1日で改善する便の異常は様子を見てよいことがあります。しかし、便の異常が続く場合は体の異常のサインの可能性があります。

便秘が起こる主な病気は、慢性腎臓病、巨大結腸症、腫瘍などによる腸閉塞があります。

下痢が起こる主な病気は、腸炎、大腸炎、肝臓疾患、膵臓疾患、寄生虫症、腫瘍性疾患などがあります。

これらの病気は様子を見ていて治るものではなく、むしろ悪化してしまい、命に関わる危険性もあります。

うんちの色に異常が出る病気

便の色が赤、黒、緑、黄、白などは何らかの病気の可能性があります。

赤は大腸や肛門の病気の可能性があります。便秘で肛門が傷ついていても便に血が付着します。大腸に腫瘍や潰瘍がある場合も血便になります。ウイルス、細菌、寄生虫症による大腸炎でもひどい血便が出ることがあります。

黒は口や鼻、上部消化管からの出血の可能性があります。胃腸炎や胃潰瘍、鼻出血、口腔内腫瘍、胃や腸の腫瘍など、出血を伴う病気で黒い便が見られます。

緑や黄は消化不良の便です。腸炎などで腸の動きが早まっていると、このような便が出ます。免疫異常、寄生虫症、アレルギーなど、腸の炎症が起こる病気に見られます。

白は肝臓、胆嚢、膵臓の病気の可能性があります。肝臓病、胆管閉塞、膵外分泌不全などで見られます。

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うんちに異常が見られたら

便の形や色の異常は内臓疾患の可能性があります。数日で改善することもありますが、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。いつから症状があるか、ほかに症状がないかを獣医師に伝え、できれば直近にした便を持参しましょう。

正常なうんちを維持するためのケア

正常なうんちを維持するためのケア

栄養バランスの取れた食事の提供

キャットフード以外の物を与えたりすると、内臓疾患になってしまう可能性があります。キャットフードを与えるようにし、人間の食べ物は絶対に与えないようにしましょう。

便秘や下痢の治療で、療法食が必要になることもあります。獣医師の指示に従って与えるようにしましょう。

水分補給の工夫と便秘予防

猫はあまり水を飲まないために、便秘になることがあります。また慢性腎臓病で体内の水分の保持ができないと、便秘になってしまいます。そのため、普段から水分が取れるように工夫する必要があります。

水飲み場は何か所か設置します。器も猫の好みに合わせて用意します。陶器やガラスが好まれる傾向にあります。入れる水は新鮮なものが望ましいですが、猫によっては1晩経った水や水道から直接出ている水を好むことがあります。猫の好みに合わせて用意しましょう。

猫用の経口補水液もありますが、ウェットフードを使ったりして水分量を増やすのもよいでしょう。

ストレス管理と環境整備の重要性 

ストレスにより膵炎を起こすことがあり、そこから膵外分泌不全という膵臓の病気になることもあります。また、腸炎を起こして下痢や血便が続くこともあります。

猫のストレスは便の異常だけでなく、おしっこトラブルにもつながります。ストレスの原因として、引っ越しや家族(人でも猫でも)が増えた(減った)、同居猫との関係悪化、騒音など、様々なことが原因となります。なるべくストレスがかかりにくい生活を心がけ、猫が逃げられるスペースなどを用意してあげましょう。猫が安心するフェロモン剤もあります。

健康なうんちのための定期チェック法

健康なうんちのための定期チェック法

毎日のトイレ掃除で気をつけるべきポイント

猫のトイレ掃除は毎日もしくはトイレをしたら行っていると思います。ただ片づけるだけでなく、うんちもおしっこも回数、量、色をしっかり見るようにしましょう。多頭飼育で誰がしたかわからない場合は、タグなどで管理する高機能トイレを使うのもよいでしょう。

便の変化を見逃さない観察のコツ 

普段から便をよく見るのが、便の異常に気づくコツです。においの異常も同じです。猫砂で隠れていても、水分量が多い便であれば砂がたくさんついてしまうなどの特徴があります。普段と違う場合は、早めに動物病院に相談しましょう。

健康診断での便のチェック方法

健康診断での便検査は、体温測定時に体温計に付着したわずかな便で検査をすることがほとんどです。健康診断での便検査は、直接法や虫卵浮遊法と呼ばれる検査が行われ、得られる情報はあまり多くはありません。そのため、便に異常がある場合は、その便を持って動物病院を受診しましょう。

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まとめ

まとめ

便の異常は、お腹の中で何らかの異常が起きていることが考えられます。下痢はすぐ気づくと思いますが、便秘は気づきにくいかもしれません。便の色も普段の色を知らなければ、異常と気づかないかもしれません。毎日のトイレ掃除で、便の状態や色をしっかりチェックしてみましょう。


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