【獣医師執筆】猫の「よだれ」は放置NG!危険な原因(口内炎・腎臓病)と緊急チェックリスト

【獣医師執筆】猫の「よだれ」は放置NG!危険な原因(口内炎・腎臓病)と緊急チェックリスト

猫は犬と違い、食べ物を見てよだれを垂らすことはほとんどありません。もし愛猫の口元が濡れていたり、ポタポタとよだれが落ちていたりする場合、口の中のトラブルや内臓の病気、あるいは強いストレスを抱えている可能性が高いです。「たかがよだれ」と放置すると、急激に体調が悪化し、命に関わる事態になることも。

今回は獣医師の視点から「よだれの状態から読み解く原因」「見逃してはいけない危険なサイン」について詳しく解説します。

猫の「よだれ」の状態別・考えられる4つの原因

猫の「よだれ」の状態別・考えられる4つの原因

1. 茶色い・血が混じる・生臭い悪臭がする

原因:口内炎、歯周病、口腔内や鼻腔の腫瘍など

猫のよだれの原因として最も多いのがお口のトラブルです。激しい痛みを伴うため、口をくちゃくちゃさせる、前足で口元を気にしてこするなどの仕草が見られます。口を開ける際に開けづらそうにもします。猫のよだれは進行した歯周病重度の口内炎が疑われます。

口の中や鼻の中の腫瘍でもよだれが出ます。腫瘍により粘膜や骨が破壊されるため、血液混じりのよだれや膿が混じり悪臭を伴うよだれが出ます。

2. 透明でサラサラだが、量が多く止まらない

原因:腎臓病(尿毒症)、肝臓病など

シニア猫で特に注意したいのが、内臓疾患による吐き気です。腎機能や肝機能が低下すると、体内の毒素の分解や排泄が遅くなります。すると、毒素が体に回る「尿毒症」などを発症し、常に気持ち悪くなり透明なよだれを出すようになります。また、体液のpHバランスがアルカリに傾くため、口腔内がただれやすく口内炎が起こります。それによってもよだれの量が増えてきます。

3. 泡を吹いている・急に大量のよだれが出た

原因:中毒、熱中症、てんかん発作、脳の異常、心疾患(血栓症や肺水腫)など

観葉植物(ユリなど)や人間の薬、ネギ類などを誤飲したことによる中毒症状の可能性があります。中毒を引き起こす物質を食べてしまった場合、非常に緊急性が高く、一刻も早い獣医師の処置が必要です。猫は人間と解毒経路が異なり、少量でも重篤になることがあります。

てんかん発作脳腫瘍などの脳の異常、熱中症でも突然大量のよだれを出し始めます。よだれ以外に顔や体をピクピクさせる、突っ張る、体が異常に熱い、意識がないなどの症状を伴います。こちらも緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診しましょう。

肥大型心筋症などの心疾患により肺水腫と呼ばれる状態になったり、心臓内にできた血栓が足の動脈に詰まることがあります。口を開ける呼吸(開口呼吸)、足が動かない・肉球が紫色で冷たい・足を触ると痛がるといった症状が主な症状ですが、よだれを伴うこともあります。

4. 車での移動時や極度の緊張状態

原因:強いストレス、乗り物酔い

動物病院へ向かう車内など、極度の恐怖やストレスを感じた際、自律神経の乱れからダラダラとよだれを垂らすことがあります。また、乗り物酔いでは吐き気が起こることがあるため、それによってもよだれが出てきます。

【獣医師が警告】すぐに動物病院へ!命に関わる緊急チェックリスト

【獣医師が警告】すぐに動物病院へ!命に関わる緊急チェックリスト

一つでも当てはまれば「即・受診」を

よだれに加えて以下の症状がみられる場合は、夜間であっても救急病院へ走るべきサインです。つまり、命に関わるレベルです。

⚠️ こんな症状が見られたら、すぐに動物病院へ!

  • ぐったりして動かない、呼びかけへの反応が鈍い
  • けいれんを起こしている、意識がもうろうとしている
  • 呼吸が荒い、または呼吸困難を起こしている(開口呼吸)、足が動かない、肉球の変色・冷感
  • 何度も嘔吐する、または吐こうとするが何も出ない
  • 観葉植物や人の食べ物、薬品をかじった形跡がある

動物病院で獣医師に伝えてほしい3つのポイント

診察をスムーズにし、正確な診断を下すために、以下の情報をメモして獣医師にお伝えください。けいれんがある場合は動画撮影も有効です。

👨⚕️ 獣医師に伝えてほしい3つのポイント

1
症状について

いつから、どんなよだれが出ているか(色、臭い、量)、他に症状があるか(先ほどのチェックリストの内容など)

2
普段との違い

食欲や飲水量の変化、おしっこの量(腎臓病の判断材料になります)

3
思い当たる原因

何かを拾い食いした、最近引っ越しや来客などで環境が変わったなど

診断から治療へ。獣医師が行うアプローチと自宅でのケア

診断から治療へ。獣医師が行うアプローチと自宅でのケア

血液検査やレントゲンで根本原因を特定

動物病院では、口の中の視診だけでなく、血液検査(腎臓や肝臓の数値確認)やレントゲン、超音波検査を用いて、よだれの根本原因を探ります。

歯周病や口内炎が原因であれば、スケーリング(歯石除去)や抜歯、抗生剤、サプリメントの投与を行います。腎臓病などの内臓疾患であれば、点滴や療法食、投薬が必要です。

口腔内や鼻腔内の腫瘍であれば、CTなどの画像検査や組織の検査(針生検や摘出)により腫瘍の種類を特定します。腫瘍の種類に適した治療が選択されます。

心疾患であれば、心臓の超音波検査や血液検査による心臓バイオマーカーの測定が有効です。てんかんは診断が難しく、MRI検査が必要になることもあります。いずれにおいても、病気に対する投薬治療が必要になります。

日々のスキンシップで「口周り」のチェック+定期的な健康診断を

猫は痛みを隠す動物です。よだれが出た段階では、すでに病気が進行していることが多く見られます。よだれが出る前に気づいてあげるためには、日頃から口の周りを触られることに慣れさせ、歯茎の赤みや口臭をチェックすることが大切です。

よだれは口の病気以外にも様々な病気の症状として現れます。定期的に全身の健康診断や口腔内の診察を受けましょう。

まとめ:猫のよだれはSOSのサイン。ストレスのない暮らしで免疫力を守ろう

まとめ:猫のよだれはSOSのサイン。ストレスのない暮らしで免疫力を守ろう

猫のよだれは、決して「いつものこと」と見過ごしてはいけない、体からの重要なSOSです。よだれが出た段階では進行していることも少なくありません。

口内炎や腎臓病の悪化を防ぐには、早期発見はもちろんのこと、日々のストレスを減らし、免疫力を保つことが何よりの予防になります。

少しでも「おかしいな」と思ったら、迷わずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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