マンチカンは足が短い猫ですが、短い脚でちょこちょこと走り回る姿がかわいらしく、人気猫種の上位を占めており、日本での飼育頭数も増えています。マンチカンの短足は突然変異によって生まれ、様々な猫種との交配が行われた結果、マンチカンという猫種が確立しました。そのため、遺伝的な疾患が認められています。
今回はマンチカンがかかりやすい病気について解説します。
マンチカンの特徴と歴史

マンチカンの短足は、突然変異によって発生したものです。昔から短足の猫は確認されていますが、マンチカンの歴史は浅く、血統と認められたのは1995年になってからのことです。1980年代にアメリカで短足猫同士の繁殖が行われ、短足の子猫が生まれることがわかると、ブリーダーによって交配が勧められました。突然変異の特徴を持った猫の交配ということで、遺伝子の異常が危惧されてきたため、血統として認められるまでに10年以上かかりました。
マンチカンは様々な猫種と交配されており、特にアメリカン・ショートヘアやスコティッシュ・フォールドと交配されてきたようです。
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マンチカンの短足は突然変異によって生まれましたが、短足自体に問題は確認されておらず、日常生活も問題なく過ごせます。しかし、マンチカンという猫種が確立するまでに、アメリカン・ショートヘアやスコティッシュ・フォールドといった遺伝性疾患が見つかっている猫と交配していることがあり、マンチカンでも同じ病気になる可能性が考えられています。
多発性嚢胞腎(せいたはつせいのうほうじん)
多発性嚢胞腎は、腎臓に嚢胞という袋がたくさんできてしまう遺伝性疾患です。アメリカン・ショートヘアやスコティッシュ・フォールドの遺伝性疾患であるため、これらの猫と交配されている場合、多発性嚢胞腎が遺伝的に起こる可能性があります。
多発性嚢胞腎は腎機能が低下するため、若い年齢から慢性腎臓病を発症します。症状としては、多飲多尿、薄いおしっこ、嘔吐、食欲不振、痩せなどが見られます。
多発性嚢胞腎の治療は確立されておらず、慢性腎臓病と同じ治療が行われます。内服、皮下点滴などを行いますが、治ることはありません。
また、遺伝的要因が大きいため、予防することはできません。
定期的な健康診断や、異常があればすぐ動物病院にかかるようにしましょう。
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肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心筋が分厚くなることで、うまく心臓が収縮できなくなる心疾患です。アメリカン・ショートヘアの遺伝性疾患であるため、この猫種と交配されていると発症する可能性があります。
症状としては、呼吸が速い、呼吸困難、開口呼吸などが起こります。また、肥大型心筋症の場合、心臓の中に血栓ができやすく、後肢の動脈に詰まりやすい傾向にあります。動脈に詰まってしまうと、後ろ足が冷たくなり、肉球の色が紫色になります。また、麻痺や強い痛みが出現します。
肥大型心筋症の治療は、生涯内服が必要になります。また、症状が現れた時にはかなり危険な状態のことが多く、酸素室に入院して集中的な治療が必要になります。血栓が詰まっている場合は血栓溶解療法が行われます。肥大型心筋症は、突然死する可能性の高い疾患でもあります。
遺伝的要因が大きいため、予防することはできません。
定期的な健康診断や、異常があればすぐ動物病院にかかるようにしましょう。
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骨軟骨異形成症
スコティッシュ・フォールドの垂れ耳猫に見られる骨の病気です。骨に骨瘤と呼ばれるコブができ、激しい痛みが出ます。マンチカンの交配相手にスコティッシュ・フォールドがいた場合、遺伝的に骨軟骨異形成症になることがあります。
症状としては、動きたがらない、ジャンプしない、関節が変形するなどです。
骨軟骨異形成症の治療法は確立されておらず、鎮痛剤により痛みのコントロールが行われます。また、放射線療法により改善する可能性がありますが、全身麻酔下で治療が行われるため、高額で体へのリスクのある治療法です。
この疾患も遺伝的要因が大きいため、予防することはできません。
痛みをコントロールすることで、生活の質(QOL)が高まるので、定期的に動物病院を受診するようにしましょう。
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椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、背骨(椎骨)の骨と骨の間が広くなり、その間にある椎間板というクッションが外に飛び出すことで、痛みや神経の麻痺などが起こります。
症状としては、痛み、ふらつき、麻痺、歩行困難、排泄障害などが起こります。
椎間板ヘルニアの程度がひどくなければ、鎮痛剤やステロイド剤で症状の緩和を図ります。しかし、排泄障害など程度がひどい場合は手術が適応になります。
椎間板ヘルニアは、肥満になると発症する可能性があります。肥満にならないように体重管理をしましょう。また、症状を放置すると回復の見込みがなくなるので、気づいたらすぐ動物病院を受診しましょう。
まとめ

マンチカンは短い足でちょこちょこと走り回り、その姿はとてもかわいらしいものです。マンチカンは、交配されてきた猫の遺伝的な病気を受け継いでいることがわかっています。遺伝的疾患であるため、予防することは難しい病気であり、根本的な治療法がなく、生涯治療をする必要があります。
早期発見により健康で過ごせる時間が長くなります。遺伝性疾患の多くが、小さいころから何らかの異常が見つかることがあります。1歳ごろから年に1、2回の健康診断を受けることをお勧めします。
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