愛猫が何度もトイレに行っている、トイレ以外で粗相してしまうようなことはないでしょうか?
この症状は、膀胱炎の可能性が考えられます。猫は、おしっこのトラブルがよく起こります。今回は、猫の膀胱炎について解説します。
猫の膀胱炎の原因とは
猫は、膀胱や尿道にトラブルが起こりやすく、これを下部尿路疾患と言います。下部尿路疾患のうち、55%が膀胱炎と言われています。猫の膀胱炎のほとんどが、特発性膀胱炎という膀胱炎です。
特発性膀胱炎の原因は明らかではなく、発生機序はよくわかっていませんが、ストレスが関わっていると考えられています。多頭飼育の場合、特発性膀胱炎の発生が比較的多くあり、他の猫から強いストレスを与えられている可能性があります。
また、特発性膀胱炎は冬に発生が多く、活動量や飲水料が減ることも原因の一つと考えられています。
特発性膀胱炎を起こしやすい猫や生活環境の特徴を挙げてみます。
- 避妊・去勢済
- 肥満や活動量が少ない
- 多頭飼育
- ストレスを感じやすい(引っ越しや人の出入りが多いなど)
- 臆病
- トイレ掃除や数などが不十分
- ドライフードが主食
このような特徴が当てはまる場合、注意が必要です。
猫の膀胱炎の症状とは
猫の膀胱炎を起こすと、次のような症状が現れます。
- 頻尿
- 血尿
- トイレ以外での粗相
- 何度もトイレに行く
- 排尿姿勢をとるが出ない
- 排尿中に鳴く
- 食欲がなくなる
- お腹を触ると怒る
- 嘔吐
膀胱炎を起こすと、膀胱粘膜の炎症が起こるため血尿になります。血液成分が尿道に詰まると、尿道閉塞を起こし排尿できなくなります。排尿ができない状態が続いてしまうと急性腎不全を起こし、亡くなる可能性が高くなります。
猫の膀胱炎の治療法とは
膀胱炎の症状があるようでしたら、すぐに動物病院を受診しましょう。特に、排尿できない数時間続くと、急性腎不全を起こします。猫の膀胱炎の治療法について説明します。
療法食に替える
猫の特発性膀胱炎に対する療法食が開発されています。特発性膀胱炎は再発率が高く、再発予防のために療法食に切り替えることが望ましいです。
特発性膀胱炎は、水分摂取量が多いと再発しにくいことがわかっています。ドライフードのみでなく、ウェットフードの使用も有効です。
サプリメントを使用する
猫の特発性膀胱炎の原因とされている、ストレスへの配慮として、いくつかサプリメントが開発されています。また、療法食の中には、サプリメントの成分をフードに添加しているものもあります。
内服薬で治療する
膀胱炎の程度が酷くない場合は、療法食やサプリメント、内服薬での治療がメインになります。
特発性膀胱炎は、細菌などが関与していません。そのため、鎮痛剤や止血剤を使用して経過を見ます。
点滴をする
猫の膀胱炎は、膀胱内に炎症物質が蓄積していると考えられています。そのため、皮下もしくは静脈内に点滴をして尿量を増やし、膀胱内の炎症物質を薄めます。点滴の際に、痛み止めや抗生剤、止血剤を投与することもあります。
膀胱炎の症状が強かったり、内服が難しい猫の場合は点滴の処置を行うことがあります。点滴で数日通院することもあります。
尿道閉塞に対する処置
尿道に血栓などが詰まり、尿道閉塞を起こしている場合は、緊急処置が必要になります。麻酔下で尿道にカテーテルという管を通り、閉塞の原因を解除します。尿閉を起こしている場合、多くが血尿であるため、生理食塩水にて膀胱洗浄も行います。
尿道カテーテルをすぐに抜去すると再閉塞を起こすため、数日カテーテルを入れた状態にします。
尿閉まで起こしていると、数日の入院が必要になります。入院中は、十分な尿量の確保と腎機能の改善のために、24時間の静脈内点滴が行われます。
尿閉の時間が長い場合、急性腎不全の状態となります。血液検査にて腎機能や電解質バランスが非常に悪い場合、治療の甲斐なく亡くなる可能性が高くなります。
尿道閉塞は、特発性膀胱炎の症状でもひどい状態です。そのため、行われる検査や処置が多く、治療費は高額になります。
猫の膀胱炎を起こさないために
猫の膀胱炎は、早めに対処しないと亡くなる可能性もある疾患です。
特発性膀胱炎の原因はストレスと考えられており、ストレスに配慮すると再発を防ぐことができます。今の生活環境を見直してみましょう。
猫の特発性膀胱炎の予防策は、次の通りです。
- トイレを猫の頭数+1個にする
- 水飲み場を複数箇所にしたり、容器を変える
- 猫の逃げ場所を設置する
- ダイエットする
- 特発性膀胱炎を起こしたことがあれば、ウェットフードで水分摂取量を増やす
猫の膀胱炎の治療費は、症状の程度によってかなり高額になります。膀胱炎を起こさないように予防策を取ることが重要になります。
まとめ
膀胱炎を起こした猫は、何度も繰り返すことが多いことがわかっています。少しでも尿の様子がおかしかったり、トイレの周りをうろうろしているなど、膀胱炎を疑う症状があれば、絶対に様子を見ずに動物病院を受診しましょう。猫の排尿について、普段からよく見ておくことも必要です。
愛猫が膀胱炎で苦しまないためにも、猫にストレスがかからないような生活を心がけましょう。
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